弁護士費用特約の適用範囲や上限について
1 弁護士費用特約の適用範囲
弁護士費用特約は、交通事故について弁護士に相談する際の費用を、保険会社が負担してくれるという制度です。
具体的には、弁護士に相談する際にかかる法律相談料や、実際に弁護士に依頼した場合にかかる着手金・報奨金等の弁護士費用が補償の対象となります。
交通事故だけでなく、日常生活で弁護士への相談や依頼が必要となった場合でも使えることがあります。
2 いくらまでカバーされるのか
弁護士費用特約を利用する際に、支払いを受けられる範囲は気になる部分かと思います。
以下で、一般的な弁護士費用特約の補償内容について説明いたします。
加入されている保険によって内容が異なる場合もありますので、必ずご自身の保険の約款をご確認ください。
⑴ 法律相談費用(受任前)の上限額
法律相談費用については、10万円まででカバーされます。
一般的な法律事務所の法律相談料の相場は、30分5500円(税込)ですので、10時間近くはご自身の負担なく弁護士に法律相談できる計算になります。
⑵ 弁護士費用(受任後)の上限額
弁護士に依頼した後に発生する費用は、弁護士報酬(着手金、成功報酬金、タイムチャージ手数料、日当等)、実費(郵券代、謄写料、通信費等)、消費税などがありますが、これらの費用は1事故1被害者につき300万円までカバーされます。
3 一般的な弁護士費用について
⑴ 後遺障害等級非該当の場合
通院期間や休業期間の長さにもよりますが、たいていの場合は、100万円もかからずに、数十万円で済むことがほとんどです。
そのため、基本的には、自己負担なく弁護士に依頼することが可能です。
⑵ 後遺障害等級が認定された場合
後遺障害等級が認定された方は、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益について、数百万円~数千万円単位で相手方に賠償してもらえることになります。
弁護士費用は、着手金(相手方への請求金額の多寡によって決まります。)と成功報酬金(獲得金額の多寡によって決まります。)が大部分を占めます。
一般的には、相手方への請求金額よりも獲得金額の方が低くなりますが、請求金額が2000~3000万円、獲得金額も2000~3000万円までいくような案件ですと、弁護士費用特約の上限額300万円をオーバーしてくる可能性があります。
上限を超える可能性があるかについて、弁護士に相談する際に確認しておくとよいかと思います。
⑶ 弁護士費用特約の枠が複数使える場合もある
弁護士費用特約は、自動車保険に付いていることが多いですが、それ以外にも、火災保険、傷害保険、生命保険等の保険に特約として付いている場合もあります。
もし、弁護士費用が300万円を超えてしまった場合でも、自動車保険の他にもう一つ別の保険に弁護士費用特約が付いている場合には、そちらからも補償を受けられることがありますので、詳細は、各保険会社の約款を参照してください。
300万円を超えるような場合には、改めて他の保険の契約内容についても確認することをおすすめいたします。
4 弁護士費用特約を利用できる人物の範囲
弁護士費用特約は、契約者本人の他にも以下の方々が利用できる可能性があります。
・配偶者
・同居中の親族
・別居している未婚の子
・同乗者
・車の所有者
利用できる人物の範囲は、ご加入中の弁護士費用特約によって異なりますので、お手元の保険資料等で事前にご確認いただくことをおすすめいたします。
なお、複数人の家族が事故に遭われた場合、全員合わせて弁護士費用300万円までしかカバーされないのではなく、被害者1人につき300万円まで保険でカバーされます。
もし家族4人で事故に遭われた場合には、弁護士費用は最大で300万円×4人の1200万円まで弁護士費用特約でカバーされることになります。