交通事故の過失割合に納得いかない
1 過失割合で損害賠償額は大きく異なります
交通事故では、被害者側・加害者側の落ち度を「○:○」と数字で明らかにします。
例えば、赤信号で完全に停車している車に、後ろから前方不注意の車が衝突したような場合は、「被害者:加害者=0:100」とされるのが一般的です。
そして、この過失割合は損害賠償額の計算にも大きく関わってきます。
例えば、被害者側に過失がある場合、被害者側が受け取ることのできる損害賠償額は、過失割合に応じて減額されることになります。
簡単に解説すると、過失が「0」だと1000万円の損害賠償金を受け取ることができる事例であれば、被害者側に1割の過失があった場合、被害者側が受け取ることのできる損害賠償金は、1割を差し引いた900万円ということになります。
仮に、被害者側に2割の過失があった場合、2割を差し引いた800万円が損害賠償金ということになります。
このように過失割合によって、受け取ることのできる損害賠償金額が大きく異なるのです。
2 物損の過失割合には十分な注意が必要です
物損と人損の両方が生じた場合、物損だけ先に保険会社と示談を成立させて修理費用だけでも先に受け取りたい…という方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、被害者自身に過失が多少なりともある場合は、注意が必要です。
例えば、先に物損の示談交渉で「20:80」で示談が決定した場合、後から人損の示談交渉で「10:90」 でなければ納得がいかないと交渉したとしても、相手方の保険会社から「物損も人損も同じ事故なのだから同じ過失割合で…」と提示され、交渉しづらくなる可能性が考えられます。
ですので、示談する際の物損の過失割合には十分な注意が必要ですから、示談の前に交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
3 過失割合の交渉は弁護士に相談することをお勧めします
過失割合の交渉を適切に行うには、過去の裁判例の積み重ねをもとに、類似事案との比較や特に考慮するべき事由を保険会社に主張し交渉するため、法的な専門性が求められます。
ですので、交通事故に強い弁護士に相談することが大切です。
当法人は交通事故の案件を数多く取り扱っており、過失割合の交渉にも自信がありますので、交通事故の過失割合に納得がいかずお悩みの方はどうぞ一度ご相談ください。
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交通事故被害者の方の過失割合でのご相談はこちら 過失がある場合の過失割合と弁護士費用特約の算定方法
交通事故の過失割合とドライブレコーダー
1 交通事故の過失割合とは
交通事故にもさまざまな類型があります。
事故態様(追突、ラインオーバー、出合頭、側面衝突など)であったり、被害者(歩行者、同乗者など)・被害車両(自転車、単車[原付・バイク]、自転車など)も様々です。
例えば、出合頭事故を想定していただければお分かりになると思いますが、出合頭事故の場合には、両方の当事者に過失(その事故発生原因の責任割合)が認められるのが通常です。
ただし、事故に遭った車に同乗していただけという同乗者の方については、通常過失は0%です。
自分の方にも過失がでてしまうと、損害賠償額の全額を受け取ることはできません。
例えば、自分の方にも過失が40%あるとされ、損害額が100万円とされた場合には、相手方より60万円(100万円-100万円×(1-0.4))しか受け取ることはできません。
過失があると、損害額から自己の過失分だけ控除されてしまいます。
特に損害額が大きい事件(死亡事故や後遺障害等級が認定されている案件)の場合には、過失割合が少し違うだけで、最終的に受け取れる金額がかなり変動してきます。
2 基本過失割合について
過失割合については、事故類型ごとに基本過失割合が決められています。
過失割合が紹介されている本としては、別冊判例タイムズNo.38という緑色の本があります。
一般の方でも購入できる本です。
基本過失割合が0%の事故類型の典型例は、追突、信号無視、ラインオーバーです。
それ以外の事故類型では、被害者側にも過失がでてしまうケースがほとんどです。
3 過失割合の決め方
過失割合は、まずは、当事者の話を聞いて、事故類型を確定します。
弁護士が介入すれば刑事記録も取り寄せたりします。
事故類型が確定できたら、それに一番近い事故態様を別冊判例タイムズNo.38の中から探して、基本過失割合を決めます。
その上で、修正要素を適用できるかどうか検討します。
修正要素は、いろいろありますが、例えば、夜間であれば歩行者側に+5%修正されたりします。
また、走っている車両の直前直後を歩行者が横断した場合や歩行者が飛び出したような場合には、歩行者側の過失割合が+5~10%に変更されることがあります。
4 ドライブレコーダーが活躍する場面
例えば、夜間の事故であっても、必ずしも、歩行者側不利に5%修正されるとは限りません。
夜間であっても、街路灯等の照明によって歩行者の発見が容易な場所である場合には、夜間修正が適用されないこともあります。
その検討の際に、事故時の映像がドライブレコーダーに残っていれば、その映像が有力な証拠になります。
映像を見れば、一目瞭然であるからです。
基本的に、動いている車同士の事故の場合には、なかなか過失が0%になることは難しいのですが、ドライブレコーダーの映像があったおかげで、加害車両がいかに無謀で危険な運転をしていたかを、ドライブレコーダーの映像で裁判官に示すことができ、無事に被害者側の過失を0%にする判決がとれたこともあります。
ドライブレコーダーの映像があれば、客観的な証拠として証明力が高いのでかなり有利な証拠となります。
逆に、ドライブレコーダーの映像がない場合には、どんなに自分は悪くないと説明しても根拠が存在しないため、裁判官に伝えることが難しくなってしまいます。
5 弁護士への相談
過失割合に争いがある場合には、交通事故の状況についてしっかりと主張・立証していく必要があります。
交通事故の過失割合についてお困りの際は、弁護士法人心 名古屋法律事務所までご相談ください。