『交通事故』の被害相談 by 弁護士法人心 名古屋法律事務所

交通事故被害相談@名古屋

追突事故の過失割合

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2021年12月24日

1 追突事故の過失割合

追突事故の場合、基本的には、追突された被害者側には過失がなく、追突した加害者側に前方不注視や車間距離不保持などの一方的過失がある場合が多いです。

そのため、停車中だけでなく、赤信号や一時停止の規制に従って停止した車両や渋滞などの理由で停車した車両に対する追突の場合も、追突された側の過失は0となるのが通常です。

また、道路に駐停車している車両に後方から走行してきた車両が追突した場合にも、駐停車が適法であり、かつ、自車の存在について警告措置をとっていれば、基本的には、追突された側には過失がないと考えられます。

2 追突事故の被害者でも過失があるとされる場合

追突事故の被害者でも過失があるとされる場合としては、大きく3つの場合に分けられます。

一つめは、追突された側が理由なく急ブレーキをかけた場合です。

二つめは、駐停車車両に対する追突事故で、駐停車が違法であったり不適法であったりする場合です。

三つめは、高速道路上での追突事故で通常の道路とは別の考慮を要する場合です。

⑴ 追突された側が理由なく急ブレーキをかけた場合

道路交通法上、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、急ブレーキをかけてはいけません。

そのため、これに反して、理由なく急ブレーキをかけた場合には、追突された側にも過失があるとされます。

この場合、基本的には追突された側が3割程度の過失ありとされます。

この基本的割合から、追突された側に有利に働く修正要素として、急ブレーキが想定される住宅街や商店街などであること、追突した側の速度違反、その他追突した側の過失があります。

⑵ 駐停車車両に対する追突事故で、駐停車が違法であったり不適法であったりする場合

道路交通法上、駐停車禁止場所での駐停車は原則禁止されているほか、駐停車の際は、できる限り道路の左側端に沿い、他の交通の妨害とならないようにしなければなりません。

また、夜間は前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならないと定められています。

追突された側がこれらを守っていない場合には、過失があるとされることがあります。

たとえば、駐停車禁止場所である場合や、後続車からの発見が難しい視認不良の場合には、それぞれ約1割不利に、不灯火の場合や駐停車方法が不適切な場合には、それぞれ約1~2割不利になる可能性があります。

⑶ 高速道路上での追突事故で通常の道路とは別の考慮を要する場合

高速道路では、高速走行が通常であり最低速度を維持する義務があり、駐停車も原則禁止されているため、駐停車または急ブレーキによる追突事故の場合でも、やむを得ない事情がない限り、両者に過失ありと考えられます。

追突された車両が、何らかの過失によって本線車道に駐停車した場合には、基本的に4割の過失がありとされ、追突された側に有利になる可能性がある修正要素には、後続車の速度違反、その他過失、自車の退避不能と停止表示機材設置などがあります。

次に、追突された車両が過失なく本線車道に駐停車した場合で、退避可能であるにもかかわらず退避しなかったり、停止表示機材を設置しなかったりした場合には、基本的に2割の過失がありとされます。

急ブレーキによる追突の場合には、急ブレーキをかけた車両にも5割の過失がありとされます。

3 追突事故の過失割合に納得いかない場合の対応方法

⑴ 過失割合によって損害賠償額が異なります

過失割合は損害賠償の金額に大きく関係してくる部分です。

例えば、被害者側に過失がある場合、受け取ることができる損害賠償額は過失割合に応じて減額されることになります。

事故当事者の双方に保険会社がついている場合で、双方に過失がある場合には、初動の示談段階では保険会社同士で過失割合の交渉をします。

⑵ 提示された過失割合に納得ができない場合

もっとも、保険会社から提示された過失割合に納得できない場合には、交通事故に詳しい弁護士に相談してみることで、有利に交渉を進められる可能性があります。

そして、納得いく過失割合の認定を得るためには、自らが主張する事故状況の立証が必要不可欠といえます。

そのため、実況見分においてしっかりと説明をしておくこと、事故状況や車両の損傷状況について写真などをとって証拠化しておくこと、後から協力してくれる目撃者がいる場合には連絡先などを聞いておくことが非常に有益です。

4 追突事故の過失割合について弁護士に依頼するメリット

弁護士に依頼することで、交通事故の過失割合に関する法的知識はもちろん、実際にどのようなケースで裁判所がどのような判断をしたのか、裁判例等の調査も踏まえた見解をもとに交渉することができます。

また、実況見分調書などを、弁護士会を通じて入手することで、事故状況を立証できる可能性も広がります。

必要がある場合には、事故現場や事故状況、車両の損傷状況などについて調査を行い、事故状況の立証をすることも考えられます。

このように、弁護士に依頼することで、法的知識や法的な調査を踏まえ、必要なポイントに絞って的確に資料を収集し、過失割合の交渉を行うことが可能となります。

また、過失割合について熾烈な争いがある場合には、裁判になることも少なくなく、弁護士に依頼した場合には、裁判まで見据えた活動が可能です。

追突事故の過失割合に納得いかない場合には、交通事故に詳しい弁護士にぜひご相談ください。

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