高次脳機能障害の後遺障害(後遺症)等級認定のポイント
1 高次脳機能障害とは
頭部外傷に起因する症状が後遺障害として残る場合のことを、高次脳機能障害といいます。
脳は、生命維持や思考、感情にかかわる、人体で最も重要な器官の1つです。
その脳を交通事故などで傷つけたときには、その後の生活に大きな支障が出てくることがあります。
たとえば、物忘れが激しくなる、集中力を欠く、性格が変わるといった後遺症が挙げられますが、それ以外にも、出てくる症状は様々です。
2 高次脳機能障害と認められるポイント
⑴ 画像所見
まず、高次脳機能障害の認定を受けるためには、画像所見があるかないかが重要となります。
高次脳機能障害における画像所見とは、MRI画像などで脳が傷ついていることがわかる、ということです。
これによって、脳損傷を証拠上明らかにすることができます。
画像所見がある場合には、後遺障害診断書に、画像所見があることを明記してもらうようにしなければなりません。
⑵ 意識障害
次に、意識障害も重要な要素となります。
意識障害というのは、事故直後に気を失ってしまったり、意識が朦朧となってしまう状態のことをいいます。
このような状態が一定期間以上継続した場合には、脳に深刻なダメージを受ける可能性が高いです。
これについては、JCS、GCSといった基準で判断されるものです。
3 高次脳機能障害の後遺障害等級認定手続き
⑴ 後遺障害の認定手続き
後遺障害は、認定機関に申請をして、認定されてはじめて等級に応じた補償が受けられる仕組みとなっています。
認定手続きは、自賠責保険会社に対する申請という方法で行われます。
加害者側の損害保険会社が後遺障害の申請を行う事前認定手続と、被害者が後遺障害の申請を行う被害者請求手続があります。
⑵ 審査方法について
審査方法は、基本的に書面審査のみで行われます。
これは、物忘れが激しくなったり、性格が変わったりといった後遺症について、面談などで本人を直接見て審査するわけではない、ということを意味します。
そのため、認定機関に被害者の症状を理解してもらうためには、症状が書面上どのように記載されているかが重要となります。
高次脳機能障害の申請の際には、特にこの点をしっかりと理解した上で資料を準備する必要があります。
なかでも、特に重要な資料は、後遺障害診断書です。
作成は治療にあたった医師が行いますが、すべての医師が必ずしも後遺障害診断書の作成に慣れているわけではありません。
場合によっては、医師と面談をして、きちんと患者の容体を伝え、適切な内容の診断書を作成していただく必要もあります。
適切な等級認定を受けるためにも、後遺障害に強い弁護士に相談しながら手続きを進めることも大切になってきます。
後遺障害等級14級の慰謝料増額はできる? 後遺障害診断書を書いてもらうタイミング