高次脳機能障害の後遺障害等級認定を受けるための後遺障害診断書の書き方
1 高次脳機能障害とは
交通事故などに遭われた際に、頭部に外傷を負い、脳に損傷を受ける場合があります。
その結果、記憶障害や集中力の低下、性格の変容などの症状が現れることがあります。
このような、頭部外傷に起因する脳損傷によって生じる後遺障害のことを、高次脳機能障害といいます。
2 後遺障害等級認定
高次脳機能障害については、全部で14等級ある障害等級のうち、1級から9級まで認定される可能性があります。
そのため等級認定について、そもそも高次脳機能障害と認定されるか、認定されたとしてどの程度の等級と認められるか、という2段階の問題があると思います。
3 後遺障害診断書作成の際のポイント
⑴ 画像所見について
脳に損傷があるか否かを確認するには、CTやMRIが有効と言われています。
CTやMRIの画像上、脳に損傷があることが明らかとなれば、後遺障害と認められる可能性は高いといえます。
後遺障害診断書には、CTやMRI画像で脳に損傷があることを明記してもらうとよいでしょう。
画像所見がない場合でも、意識障害の程度によっては、後遺障害と認定される場合があります。
このような場合には、意識障害の程度や、その後の症状などについて、詳細に記載してもらうとよいでしょう。
⑵ 意識障害について
脳の損傷は、頭部外傷後に意識消失を伴うような場合に起こりやすいと考えられています。
画像所見が認められない場合でも、意識障害が長く続いたような場合には、後遺障害と認められる可能性があります。
意識障害の程度を測る基準として、JCS、GCSという基準があります。
①JCSが3~2桁、GCSが12点以下の状態が6時間以上続いた場合、あるいは、②JCSが1桁、GCSが13~14点の状態が1週間以上続いた場合が、後遺障害等級認定の1つの目安となっています。
このJCS、GCSの数値は、救命措置の最中に救急隊員によって記入されることも多く、記載が曖昧であったり、十分でなかったりする場合もあるようです。
そのため、早期に主治医の先生に意識障害についての所見を確認し、適正な数値を記載してもらうことが大切です。
⑶ 症状の程度について
画像所見や意識障害に加え、実際にどのような症状が出ているかも重要な要件となります。
症状の程度は、後遺症としての認定と、認定される等級の両方に影響します。
受傷の前後で日常生活にどのような変化があったのか、具体的に、詳細に記載していく必要があります。
しかし、医師は患者の日常のすべてを把握しているわけではありません。
また、被害者の方は、受傷前後で自分がどう変わったか自覚できていない場合も少なくありません。
そのため、家族や同僚など、周りの方にサポートしてもらい、どのような症状が出ているのか、詳細にメモを取っておく必要があります。
そして、医師には、家族等が作成する日常生活状況報告の内容を踏まえて、被害者の方の状況をきちんと書いてもらうことが重要です。
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