『交通事故』の被害相談 by 弁護士法人心 名古屋法律事務所

交通事故被害相談@名古屋

むちうち・脳脊髄液減少症の後遺症・後遺障害慰謝料

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2023年10月31日

1 むちうちとは

むちうちとは俗称で、診断書等においては、頚椎捻挫、外傷性頚部症候群と書かれることが多いです。

脱臼・骨折等はないものの、主に頚部痛、時には頭痛や肩・背中・上肢の痛み・しびれが現れているものです。

2 脳脊髄液減少症とは

脳脊髄液減少症は、2つの種類に分けられ、1つは髄液の漏出がなく、脱水等で髄液の生成が低下し、髄液の量が減少するもの、もう1つは髄液を包む硬膜に傷が入り、髄液が漏出することで減少するものです。

症状としては、起立する際の激しい頭痛が特徴で、そのほかに疼痛、全身の倦怠感、めまい、吐き気、睡眠障害などがあげられます。

3 交通事故との関連性

交通事故による衝撃で、むちうちや脳脊髄液減少症を発症することが知られています。

もっとも、交通事故の患者すべてがこれらを発症するわけではなく、発症のメカニズムについては不明な部分も残されています。

4 後遺障害との関係

自賠法施行令別表Ⅰ・Ⅱにおいては、むちうちや脳脊髄液減少症それ自体が後遺障害として規定されているわけではありません。

局部に頑固な神経症状を残すもの(12級)か、局部に神経症状を残すもの(14級)のいずれに該当するかにかかってきますが、器質的損傷(つまるところ骨折)の有無に着目して判断してきたこれまでの運用に照らし合わせると、12級の認定は基本的に難しいといえます。

5 傷害慰謝料との関係

傷害慰謝料は、わかりやすくいうと、重傷か軽傷かで基準が異なってきます。

赤本では、慰謝料の基準が高めに設定されている別表Ⅰ(重傷事案を想定)と低めに設定されている別表Ⅱ(軽傷事案を想定)とがあり、「むち打ち症で他覚症状がない場合は別表Ⅱを使用する」と書かれています。

脳脊髄液減少症に関しては、脊髄MRI等で確認することが可能とされており、他覚症状はあるように思われます。

もっとも、脳脊髄液減少症自体がそれほど周知されていないこと、骨折には至っていないことから、他覚症状があったとしても実質的には別表Ⅱが想定する内容であるとの反論が予想されるところです。

6 後遺障害慰謝料との関係

実務においては、自賠責保険において何級の認定をうけるかによって、金額の違いが生じます。

重い症状の等級ほど、慰謝料の額も高額になってくるというわけです。

前述のように、むちうちや脳脊髄液減少症の後遺障害としては、14級に該当するか否かが、1つの分かれ目といえるかと思います。

自賠責保険の認定は絶対的なものではなく、また、慰謝料は後遺障害の内容のみで定まるものでもないことから、裁判等で認定された等級以上の基準の慰謝料を請求することはできます。

ただし、その立証は容易ではないことに注意が必要です。

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