交通事故による評価損
1 交通事故における評価損とは
交通事故に遭った車は、損傷が車両の骨格部分(フレーム)にまで波及している場合、修理ができたとしても、修復歴が残ってしまいます。
このような車は事故車扱いとなり、将来車両を買い替える際に下取りに出そうとしても、販売価格が下がってしまうことがあります。
このように、事故にあった車両が修理が一応できたとしても、事故に遭ったことにより車両としての価値が下がってしまった分の損害を「評価損」と呼びます。
簡単にいえば、事故当時の車両の価値(「時価」といいます)と修理後の車両の価値との差額が評価損ということになります。
2 評価損は認められるのか
しかし、評価損を算定することは簡単ではありません。
まず、事故当時の事故車両(時価)そのものを算定することが、簡単ではありません。
また、修理後の車両価格についても、査定する業者等によって査定額は異なります。
さらに、修理の内容によっては修復歴をつける業者、つけない業者があります。
また、過去の裁判でも、判断はまちまちであり、明確な基準が定立されているわけではありません。
3 評価損の算定
評価損を決める際の考慮要素は、車種(外国車や国産人気車種か、年式や(初年度登録から3年以上経過していると認められにくい傾向にあります)走行距離、損傷箇所・損傷の程度などが挙げられます。
評価損の算定方法は、事故時の車両価格の何パーセントかを評価損と算定したものや、事故当時のあるべき時価から修理後の価値を控除して算定したものなどもあります。
また、日本自動車査定協会の出した査定書が参考とされる場合もあります。
もっとも、裁判例上は、修理費の何パーセントかで算定をする事案が多いです。
割合的には、おおむね修理費の1割~2割程度と判断されるケースが多いです。
たとえば、登録後3年弱、走行距離約4万3000kmのトヨタ・セルシオにつき、日本自動車査定協会から減価額51万5000円とする査定が出ていましたが、その評価過程が明らかでないとして採用されず、修理費166万余の2割相当である33万円余の評価損を認めたものがあります。
4 評価損についてのご相談
評価損は、被害者が自分で請求しても、保険会社はなかなか認定してくれないことが多いです。
弁護士が入り、適切な主張をすることでようやく認められた、ということも多いです。
弁護士が入ればすべてのケースで評価損が認められるわけではありませんが、一定の条件を満たせば、評価損が認められるケースがあります。
弁護士法人心は、評価損の請求についても多数の相談を受けております。
評価損でお悩みの方は、一度、弁護士法人心にご相談ください。
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