休車損害の計算方法
1 休車損害とは
休車損害とは,タクシー,トラック,レンタカーなどの営業用車両が,交通事故によって破損し,修理・買い替えによって営業ができなかった場合に,営業を継続していたであれば得られたであろう利益の喪失について,損害として認められるものをいいます。
2 休車損害の計算方法
休車損害の計算は,原則として,事故前の2~3か月程度の売上平均から経費の一部を控除して行います。
しかしながら,事故車両の使用者が代替車両を使用するなどの方法により,利益を現実に得ていたときには,上記計算により算出される全額を損害とすることはできません。
たとえばタクシーが,破損した場合には,特段の事情がない限り,当該タクシー会社における事故前2~3か月の平均実働車一日一車あたりの営業運賃収入から,修繕費や燃料費,乗務員人件費,タイヤ消耗費などを引いた額が休業損害となります。
控除する経費とならないものとしては,固定資産償却費,保険料,施設関係費,一般管理費,営業外費用などがあり,これらについては,休車損害として賠償を受けることができる可能性があります。
加えて,修理のために使用できない期間について運送を外部に委託した場合については,委託運送費用から通行料や燃料費などの経費を控除した額が損害として賠償される可能性があります。
また,事故以前と比べて,売り上げが落ちていない場合でも,既存の車両と従業員によって,事故以前と同程度の売り上げを確保していたというような場合にも,被害者の営業努力により売り上げを維持したというような特別な事情がある場合には,被害車両による粗利益の30パーセントに相当する額を損害として認めた裁判例(名古屋地判平15・5・16自保ジャーナル1526・16)もあります。
3 休車損害については,ぜひ一度弁護士にご相談ください
休車損害については,遊休車がある場合にも認められるのか,緑ナンバーではなく白ナンバーについても認められるのかなど,難しい問題があります。
休車損害の損害賠償は,事案ごとに様々な判断が必要となるため,適切な賠償を受けるためには,早期から適切な対応をする必要があります。
弁護士法人心 名古屋法律事務所は,名古屋駅太閤通南口から徒歩2分のところに所在しておりますので,交通事故でお悩みのある方は,是非一度ご連絡ください。
休車損害について
1 休車損害とは
休車損害とは,運送会社の貨物自動車やタクシー等の営業車が事故により損傷して営業ができなかったために生じた損害をいいます。
休車損害は,被害車両の相当な修理期間又は買替期間の範囲内で認められます。
2 休車損害の算定方法
休車損害は,被害車両によって1日あたりに得られる利益額に相当する修理期間又は買替期間を乗じて算出されます。
具体的には,被害者の確定申告等で1日あたりの利益を算出し,これを車両の保有台数で除する方法や1日あたりの売上から経費を控除する方法で1日あたりの利益を算出する等の方法があります。
1日あたりの営業収入は,事故前3か月ないし1年の売上実績を基に算出されます。
3 控除される経費とは
休車損害を算出する際には,流動経費をはじめとして,稼働しないことによって支出を免れた経費が控除されます。
具体的には,車両を使用しないことによって免れた変動経費として,燃料費,通行料,修理費,運転手の乗務手当などがあげられます。
他方,固定経費である乗務手当以外の人件費,減価償却費,保険料,駐車場使用料,税金等は控除すべき費用ではありません。
4 予備車両(遊休車)がある場合
遊休車がある場合は,現実に休車損害が発生しないため,休車損害は認められないとされています。
遊休車の存否については,営業車両の稼働率から非稼働車両の存在が認定されることがあります。
また,被害車両がタクシーの事故については,当該タクシー会社の空車が多いことを理由に,遊休車が多いとの主張がされることがありますが,当該主張については,認められないことが多いです。
遊休車の存在については,加害者の手元に立証資料がないことより,被害者が遊休車の不存在について立証責任を負担するものとされています。
5 売上げの減少と休車損害の関係
不法行為に基づく損害賠償請求は,被害者に生じた現実の損害を填補するものです。
そのため,原則として,交通事故の前後で売上高の減少が生じていないときは,休車損害を当該事故による損害として請求することはできません。
ただし,事故車両が稼働していれば,より多くの収入を得られたであろうと認められるときは,例外的に,営業収入の減少がなくとも,休車損害を請求することができます。
6 代車料と休車損害の関係
代車料と休車損害は,いずれも事故車を使用できなかったことによる損害であるため,両方を重複して請求することはできません。