交通死亡事故被害者-年金受給者の逸失利益
1 逸失利益とは
交通事故で亡くなられた方は、当然、その後できたはずのことができなくなり、得られたはずのものが得られなくなってしまいます。
この「事故にあわなければ得られたであろう利益」を逸失利益といいます。
2 年金と逸失利益
年金についても、事故にあわなければ、死亡するまで支給されるものであることからすると、逸失利益として認められるように思われます。
しかし、過去の裁判例では、年金の種類ごとに異なる判断がされており、年金は必ず逸失利益と認められるわけではないというのが実情です。
年金は、大きく分けると、老齢・退職時支給の年金(老齢年金・退職年金)、後遺障害について支給される年金(障害年金)、遺族に支給される年金(遺族年金)の3種類に分けることができます。
過去の裁判例では、年金の種類ごとに異なる判断が出されているので注意が必要となります。
(1) 老齢年金・退職年金
老齢年金・退職年金については、裁判例で逸失利益として認められています。
(2) 障害年金
障害年金も、逸失利益として認められています。
ただ、妻や子供について加算されている分については、逸失利益として認められていません。
配偶者とは離婚する可能性がありますし、子供も結婚すれば扶養からはずれることがあるため加算分は変更される可能性があることや、加算分は支払った保険料に対する対価としての側面が弱いことなどが理由とされているところです。
(3) 遺族年金
これについては、逸失利益として認められていません。
理由として、受給している人自身の生計維持が遺族年金の目的であることや、受給者は保険料を支払っておらず社会保障としての側面が強いことなどが挙げられます。
3 生活費控除、ライプニッツ係数
交通事故にあわなければ得られたであろう利益が逸失利益となるわけですが、反対に、事故にあわなければ消費したであろうその後の生活費についても、逸失利益を算定する際に考慮しなければなりません。
おおよそ4割から7割程度の生活費控除率を算定し、得られたはずの利益から控除します。
また、法律上年5%の割合での利息が認められていますが、将来受け取る予定の年金を今受け取ると、利息分が発生するため、もらいすぎとなってしまいます。
そのため、これも逸失利益の算定の際には考慮されなければなりません。
利息を考慮するための係数が、ライプニッツ係数と呼ばれるものです。
4 交通事故の逸失利益については弁護士へ
以上のように、年金受給者の逸失利益の算定は簡単ではありません。
そのため、適切な請求をするためには、交通事故に強い弁護士に依頼すべきです。
名古屋に本部がある弁護士法人心では、「交通事故チーム」を作り、弁護士、事務スタッフなどが一丸となって、依頼者様をサポートしています。
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