『交通事故』の被害相談 by 弁護士法人心 名古屋法律事務所

交通事故被害相談@名古屋

車両の買替諸費用

1 買替諸費用の賠償

交通事故が原因で車両が全損状態となり,車両の買替が相当とされた場合,車両の買替に要する諸費用(消費税,自動車取得税,自動車重量税,自動車税,自賠責保険料,登録費用,車庫証明費用,納車費用,廃車費用など)は,賠償されるのでしょうか。

このページでは,これらの買替諸費用が賠償される範囲についてご説明をしたいと思います。

2 買替諸費用に関する注意点

交通事故が原因で車両が全損状態となった場合,事故当時の車両価格と事故車両と同程度の車両を購入するために要する買替諸費用が賠償されれば,交通事故の被害者が被った損害は填補されると考えられています。

そのため,事故車両を新車に買い替えた場合でも,賠償される買替諸費用は,「事故当時の車両と同程度の」車両を取得する際に通常必要とされる範囲に限られてしまうことに注意が必要です。

3 消費税

車両を購入する場合には,当然,消費税が加算されることになります。

そのため,事故車両と同程度の車両を購入する際の消費税相当分については,交通事故と相当因果関係が認められる損害として,賠償の対象となります。

4 自動車取得税

自動車取得税とは,地方公共団体が,自動車の取得者に対し,自動車の取得価額を基準として課している税金のことを言います(地方税法第113条~第143条)。

自動車取得税は,事故車両と同程度の車両を購入する際に要する限度で,損害賠償の対象となります。

5 自動車重量税

自動車重量税とは,「自動車検査証の交付等を受ける者」及び「車両番号の指定を受ける者」に対し,自動車の重量や自動車検査証の有効期間に応じて課せられる国税のことを言います(自動車重量税法第4条,第7条)。

自動車重量税は,自動車検査証の有効期間に未経過分があった場合,当該未経過分に相当する分が損害賠償の対象となります。

ただし,事故車両が「使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)」に基づいて適正に解体され,かつ,車検残存期間が1か月以上の場合は,申請により,車検の残存期間に相当する自動車重量税額の還付を受けることができますので,この制度を利用して既に還付を受けている分については損害賠償の対象には含まれません。

6 自動車税

自動車税とは,地方公共団体が,自動車の所有者に対し,自動車の種類・用途・総排気量等に応じて,毎年4月1日を基準に課す税金のことを言います(地方税法第145条~第148条)。

自動車税については,4月から翌年3月までの分を前納することになりますが,自動車を廃車にした場合は,未経過の分の還付を受けることができますので,原則として損害賠償の対象にはなりません。

7 自賠責保険料

自賠責保険の保険料は,車両の種類及び車検の有効期間に応じて決められた金額を前納することになっていますが,車検の有効期間内に廃車にした場合は,未経過の分の保険料の還付を受けることができます(自動車損害賠償責任保険普通保険約款第13条)。

そのため,未経過分の自賠責保険料については,損害賠償の対象とはなりません。

8 登録費用

登録費用とは,自動車を購入して自分名義のものとする際にかかる費用のことを言います。

登録に必要となる法定の手数料については,車両を取得する際に通常必要とされる費用として,損害賠償の対象となります。

9 車庫証明(保管場所証明)手続費用

①新車を購入したとき,②中古車を購入又は譲り受けるなど保有者の変更があったとき,③自動車の使用の本拠の位置を変更したときには,車庫証明(保管場所証明)の申請・発行手続を行うことが必要となります。

車庫証明(保管場所証明)の申請・発行手続に関して必要となる法定の手数料については,車両を取得する際に通常必要とされる費用として,損害賠償の対象となります。

10 廃車費用

自動車を廃車にする場合(正確には,「抹消登録をする場合」のことです。),管轄の運輸支局にて廃車の手続(抹消登録の手続)を行う必要があります。

この廃車手続のために必要となる法定の手数料については,新たな車両を取得する際に通常必要とされる費用として,損害賠償の対象となります。

11 納車費用,登録手続代行費用,車庫証明手続代行費用

車両購入時に,自動車の登録手続や車庫証明手続,納車を自動車販売店に依頼をして行ってもらう場合もあるかと思います。

そのような場合に販売店等に対して支払わなくてはならない納車費用,登録手続代行費用,車庫証明手続代行費用は,販売店等が行った労務に対する報酬としての性格を有します。

このような納車費用,登録手続代行費用,車庫証明手続代行費用は相手方から賠償してもらえる損害と言えるのでしょうか。

この点,裁判例の中には,「これらは,販売店の提供する労務に対する報酬であるところ,車両を取得する都度,登録・車庫証明等の手続が必要となり,通常,車両購入者がそれらを販売店に依頼している実情にかんがみると,これらの費用も,買替えに付随するものとして損害賠償の対象とするのが相当である。」とするもの(東京地方裁判所平成15年8月26日判決)があります。

もっとも,販売店等に対する報酬の多寡によっては,その全額を賠償されるべき損害として認定することが適切でない場合もあり得るという旨を示唆する見解もあります。

12 おわりに

以上のとおり,車両を買い替える際に必要となる諸費用は多数あるうえ,買替諸費用の中には加害者から賠償を受けることができるものと賠償を受けることができないものがありますので,非常に複雑となっています。

そのため,交通事故に遭って,自動車が全損状態となったため,自動車を買い替えようと考えているが,買い替えの際に必要となる諸費用を相手方から賠償してもらえるのか気になるという方は,一度交通事故に詳しい弁護士に相談をしてみることをすすめいたします。

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