失明した場合-盲導犬にかかる諸経費も請求できる?
1 両眼が失明した場合の後遺障害等級(前提)
前提として,失明した場合には,後遺障害等級1級1号に該当します。
自賠責保険金は3000万円です。
1級の後遺障害慰謝料は,2800万円がひとつの弁護士基準となります。
また,失明したことにより,1級の場合,労働能力が100%喪失したと考えられます。
もっとも,失明した以外に後遺障害がない場合などは,盲導犬の助けを借りるなどすれば就職も可能であるとして,労働能力喪失率を控えめに80%と算定した裁判例もあります。
それでも,後遺障害逸失利益の金額は,多額に上ります。
逸失利益の計算方法は,給与所得者である場合,事故前年度の年収×労働能力喪失率(80%~100%)×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数と計算されます。
2 盲導犬にかかる諸経費について
それでは,失明した場合には,後遺障害慰謝料や逸失利益のほかに,盲導犬にかかる諸経費も相手方に賠償してもらうことはでるのでしょうか。
裁判例としては,交通事故により両眼失明の後遺障害を残した被害者につき、盲導犬関係費用として盲導犬協会に入所して訓練を受けた際に支出した費用、盲導犬の医療費のほか将来の盲導犬の食費、狂犬病予防接種等の費用およびその他の雑費が事故による損害であると認められた事例(東京地方裁判所/昭和61年5月15日判決)があります。
この裁判例では,将来においても人並みの日常生活を送るためには盲導犬の助けを借りることが必要不可欠であると認定しています。
そして,盲導犬にかかる諸経費として,盲導犬協会の入所費用,盲導犬の医療費,盲導犬の食費,狂犬病予防接種等の費用を損害賠償として認めております。
盲導犬の食費など将来も盲導犬に必然的にかかる費用については,被害者が生存し続ける限り,必要経費として,将来の分まで損害賠償を認めています。
将来の分の費用の計算方法は,1年分の盲導犬にかかる費用×被害者の平均余命年数に対応するライプニッツ係数として計算されておりますので,盲導犬の諸経費だけで数百万円単位の賠償額が認められています。
3 盲導犬の諸経費まで獲得するには
紹介しました裁判例でみたように,盲導犬の諸経費は高額な金額となります。
そうすると,相手方の保険会社は,払い渋りをすることが考えられます。
相手方に適切妥当な金額の盲導犬の諸経費を賠償させるためには,交通事故に強い弁護士の力が必須となってきます。
弁護士の介入がないと,不当に低い金額でしか賠償されない可能性が高いのです。
盲導犬の諸経費の賠償金額についてのご相談は,弁護士法人心の弁護士までお問い合わせください。