交通事故と怪我の因果関係
1 交通事故と怪我
交通事故被害に遭ってしまうと,当然怪我をしてしまうこともあります。
この怪我について,事故によって生じたものであるか(事故との間に因果関係があるか)が問題となることがあります。
交通事故による怪我の種類は様々です。
たとえば,骨折や切り傷が発生したというのがひとつ想像しやすいと思います。
骨折や切り傷について,因果関係が問題になることは少ないです。
骨折や切り傷については,いつ発生した怪我であるかが,怪我やレントゲン画像などをみることでほぼ判断できるためです。
そのため,骨折や切り傷については,それが交通事故により生じたものだということに疑問が生じることは少なく,因果関係の問題は通常生じにくいのです。
他方,一見して明らかに交通事故による怪我であることがわからないもの,例えば目が見えにくくなったであるとか耳が聞こえにくくなったであるとか,あるいは,交通事故の恐怖がフラッシュバックしてしまい精神科に通わなければならなくなったであるといった症状は,因果関係が問題となることが多いものです。
そのため,そのような怪我については,まずその症状が交通事故によって生じたものである(因果関係がある)と立証しなければなりません。
2 因果関係の立証
まず,これはどのような怪我の場合にも言えることですが,事故から最初の治療までの期間が長くなってしまうと,因果関係が否定されることがあります。
交通事故により怪我をしたのであれば,普通はすぐに病院へ行くはずだという経験則があるので,自己から最初の治療までの期間が長くなると,その症状は,事故以外の原因で生じたのではないかと疑われ,因果関係が否定されてしまうのです。
一般的には,遅くとも1週間以内に治療を開始していないと,"その怪我は交通事故でできた怪我ではないのではないか"として因果関係が否定される可能性が高まります。
忙しいなどの事情のある方もいるとは思いますが,なるべく早い段階で治療を開始することが求められます。
次に,画像資料や検査資料等の客観的資料により因果関係を立証することがあります。
これに医師の診断等を加えて立証できることもかなり多くあります。
問題は,一見して明らかに交通事故による怪我であることがわからないものについてです。
極端なことをいえば,事故直前に怪我をした箇所の検査がなされているのであれば,事故後の検査と比較して立証することができます。
しかし,そのようなことは通常ありえないので,その他の各事情から立証していくことが求められます。
最も多いのは,病院のカルテ等の医療記録から立証する方法です。
これを踏まえた医師の意見書を加えて立証することも多いです。
これに加えて,車両の損傷状況,同乗者の受傷状況,被害者本人の陳述書等,様々なものを使用して立証を行います。
事故の状況からそのような怪我をすることがあり得るということを主張したり,病院のカルテを取り付けて,その内容から交通事故による怪我と考えて矛盾がないということを主張したりということが考えられます。
因果関係の立証は,きわめて難しい場合も少なくなく,専門家である弁護士に依頼する方が,適切だといえます。
3 弁護士法人心について
弁護士法人心では,ご来所していただいての相談だけでなく,お電話でのご相談も全国から受け付けております。
「交通事故により怪我をした者の因果関係を争われている」というような方は,ぜひ一度弁護士法人心にご相談いただき,弁護士の意見をお聞きになってみてください。
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