『交通事故』の被害相談 by 弁護士法人心 名古屋法律事務所

交通事故被害相談@名古屋

交通事故でよく聞く「第三者行為」とはなんですか?

  • 文責:弁護士 上田佳孝
  • 最終更新日:2022年5月17日

1 第三者行為という言葉の意味

交通事故で通院をしていると、「第三者行為の届を出してください」と言われることがあるかもしれません。

この「第三者行為」という言葉は、ひとことで言えば、(加害者である)第三者からの(交通事故という加害)行為と言えます。

日常的な風邪や、不注意で転んでしまったことによるケガなど、いわゆる私病といわれる傷害に対する治療と区別して、交通事故での治療は第三者からの行為による傷病とされます。

2 交通事故で「第三者行為による傷病届」が必要となる場合

交通事故で通院をしている際に、常にこの「第三者行為による傷病届」が必要になるわけではありません。

たとえば、「一括対応」ともいわれる、加害者の任意保険会社が治療費の支払を直接医療機関にしている間に治療が終了すれば、この届を出す必要はまずありません。

しかしながら、一括対応をしてくれず健康保険や労災を利用するケースや、一括対応中であっても健康保険を利用して一括対応されるケース、一括対応が終了した後に健康保険や労災を使うケースなどでは、通常は「第三者行為による傷病届」の提出が必要となります。

簡単に言えば、交通事故被害で生じた怪我の治療のために健康保険や労災を使うケースでは、「第三者行為による傷病届」が必要になるということです。

3 「第三者行為による傷病届」の提出が必要となる理由

労災を使う場合も、健康保険を使う場合も、この届が必要となる理由自体はほぼ同じです。

本来、第三者の行為である交通事故による負傷についての損害は、加害者が負担するのが原則です。

しかし、業務上や通勤災害によるものであれば労災を使って、そうでなければ健康保険を使って治療を受けることが可能です。

この場合、加害者が支払うべき治療費を、労災や健康保険が立て替えて支払っているということになります。

そのため、立替払い後に労災や健康保険が加害者に対して給付した費用の請求を行う「求償」のために、この届が必要となります。

4 交通事故における通院から示談までの流れ

⑴ 加害者の任意保険会社が治療費を支払っている(一括対応)段階

事故直後から、被害者の過失割合が大きい場合や受傷に疑義がある場合などを除き、多くの場合、加害者の任意保険会社が、直接医療機関に治療費の支払いをしてくれます。

このまま症状が完治すれば、その段階で治療終了となり、示談となります。

⑵ 一括対応の打切り後も治療を要する段階

一括対応が終わった後も症状が残っている場合、症状固定でなければ、その後も交通事故での治療を継続することが可能です。

この場合、通勤中や業務中の事故であれば労災を利用することができ、そうでなければ健康保険を利用することができます。

このとき、第三者行為届が必要になります。

労災の場合は、労災指定医療機関であれば窓口負担なく治療を受けることができます。

労災が使えない場合は健康保険を使うほかありませんが、その場合は窓口で3割の負担が出るほか、その3割分を相手方から回収することができない場合もあります。

通院継続の方針やその方法などについては、弁護士とよく相談することをお勧めします。

⑶ 症状固定

症状固定とは、完治または、治療を継続してもなお症状が良くも悪くも変化しなくなった状態を言います。

症状固定の判断は、第一次的には医師が行うものですが、症状固定の判断があまりに早期である場合などでは、賠償上不利になる可能性もあるため転院を検討することもあります。

完治した場合には、その時点で治療終了となり、それまでの通院を前提に示談交渉を行います。

⑷ 後遺障害申請

症状が残存した状態で症状固定となった場合には、その時点で残っている症状について、後遺障害として評価してもらうため、後遺障害申請を行います。

後遺障害が認定された場合には、症状固定までの通院と後遺障害による支障などについて、併せて示談交渉を行います。

後遺障害等級が認定されなかった場合には、異議申立という不服申立の手続を行うこともできますし、手続をせずに後遺障害等級非該当のまま示談交渉を行う場合もあります。

5 交通事故の治療費についてお悩みの方は弁護士にご相談ください

交通事故の治療費については、保険会社からの治療費支払が終了した後にも、労災や健康保険を利用して治療継続ができる場合があります。

どのような通院方法が可能なのか、有利なのかは、それぞれケースによって異なりますので、迷ったらまずは交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

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