交通事故で長期間入院したために大学を留年してしまったのですが、余分にかかった学費を損害として請求できますか?
1 余分にかかった授業料等を賠償してもらえるか?
突然事故に遭ってしまい大学を留年してしまった場合、1年余分にかかる学費や、就職が遅れたことに対して何らかの賠償を受けられるのか、不安に思われている方も多いと思います。
裁判例では、事故のために1年間留年した大学生につき、留年期間中の学費の賠償を認めたものや、留年し就職の遅れが生じた場合に、就職が遅れた期間分の損害の賠償を認めたものなどがあります。
2 余分にかかった学費を損害として請求できる範囲
授業料の損害の賠償は、被害者の被害の程度、内容等を具体的に検討し、学校を休む必要性が認められれば、妥当な範囲で認められます。
つまり、交通事故が原因で留年したことが明らかであれば、相手方に損害の賠償を請求でき、当然ながら、事故以前に学業不良であったり、出席日数が足りないなどの事情があった場合には、事故に遭ったために大学を1年留年したことが明らかであるとはいえないため、相手方に損害の賠償を請求することはできません。
また、親元を離れて一人暮らしをしていた場合には、余分にかかってしまった家賃についても相手方に請求することが可能な場合もあります。
裁判例の中には、交通事故により1年間留年してしまった大学生に対し、1年分の学費と1年分のアパート賃借料の賠償を認めたものがあります。
3 就職遅れによる損害の賠償が認められる範囲
留年したことによって卒業、就職が1年遅れた場合には、そのことによって生涯の総収入が減ることになります。
その減収分は休業損害もしくは逸失利益として請求することができます。
減収分を休業損害もしくは逸失利益として算定する際に基礎とされるのは、大卒同年齢の平均賃金です。
ただ、必ずしも大卒同年齢の平均賃金が算定の基礎とされるわけではなく、個別具体的な事情を考慮して判断されることになります。
例として、名古屋地裁平成14年9月20日判決は、具体的な内定先が決まっていた大学院生に対して、基礎収入額について、内定先の会社からの回答による給与推定額を基準に賠償を認めました。
4 交通事故の被害者の方が適切な損害賠償を受けるために
授業料等の損害を相手方に請求するためには、それが妥当なものであることを立証していく必要があり、事故に遭われた方ご自身が、相手方と交渉し、適切な損害の賠償を受けることが難しい場合も多いです。
当法人は、名古屋で多くの交通事故案件を取り扱っております。
お困りの際は、お気軽にご連絡ください。
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