既往症があった場合,損害賠償額が減額されることがあるのですか?
- 1 既往症について
交通事故の示談交渉や裁判の時点において,「既往症があったのだから,損害賠償額から減額すべきである。」などと主張されることがあります。
損害賠償額が大きいケース,たとえば1000万円などの事例で,20%の減額を主張された場合は,200万円も減額されることになります。
既往症は,交通事故に遭う前から疾患があって,交通事故によってその疾患が悪化した場合などに問題になります。
これについて,法律用語では「素因減額」といいます。
- 2 素因減額について
被害者の体質的な素因(既往症など)による損害の拡大がある場合や,被害者の心因的要因(特異な性格や過剰反応など)による損害の発生・拡大がある場合などは,素因減額され,損害賠償額が減額されることがあります。
この点,裁判所は,民法722条2項の過失相殺の法理を類推適用して,減額を認めております。
- 3 減額の程度について
では,素因減額が認められるとして,一体,どれぐらいの割合で減額されるのか。
この点,一定の基準が存在しているわけではありません。
素因が損害の発生・拡大に寄与した程度,素因の性質,受傷の部位やその程度,交通事故の態様などを総合考慮して,その割合を判断していきます。
そのため,ケースバイケースとしかいいようがありません。
20%減額されるケースもあれば,50%減額するケースもあります。
したがって,相手側の任意保険会社からの示談案の中に,既往症や素因減額などの記載があった場合は,まず,弁護士にご相談することをおすすめします。
そもそも素因減額されるケースなのか,素因減額されるとしてもその割合は妥当なのか,素因減額される順番は適切なのかなど,検討すべき事項がいくつかございます。
そして,素因減額の割合が50%などと主張されているケースでは,受領金額が半分になってしまい,損害賠償額に大きな影響を与えることになります。
ですので,示談する前には,一度,弁護士にご相談ください。
- 4 さいごに
弁護士法人心は,名古屋駅から徒歩圏内にあり,ご来所しやすい立地にございます。
その他,0120-41-2403とフリーダイヤルも準備しており,土日の予約受付も実施しております。
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