「ライプニッツ係数」とは?
1 「ライプニッツ係数」が登場する場面
交通事故被害者の方に、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益、将来治療費、将来介護費などの損害が生じていると、損害の計算において「ライプニッツ係数」というワードが登場します。
例えば、後遺障害逸失利益の金額は、一般的に、「基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」という計算式によって求められます。
2 「ライプニッツ係数」について後遺障害逸失利益を用いて説明
⑴ 後遺障害逸失利益の一時金賠償を受けるということの意味
後遺障害逸失利益は、通常、将来の労働能力の喪失分も含めて、現時点において、1回の支払いでまとめて全て賠償されます。
これを「一時金賠償」と言います。
後遺障害逸失利益は、後遺障害が存在しなければ将来的に得ることができるはずであった利益のことを言いますので、被害者の方が後遺障害逸失利益について一時金賠償を受けるということは、本当は将来的に損害が生じた時点で定期的に貰っていくはずであった金員を、現時点で全て一括して受け取ることを意味します。
⑵ 被害者の方が利息の分だけ得をする可能性
そうすると、(実際可能であるか否かはさておき)理論上、被害者の方は、本来その利益を手に入れることができるはずであった将来のとある時点までの間に、一時金として受け取った賠償金を運用して、利息分の利益を手に入れることができます。
そのため、現時点において、将来得られるはずであった利益を満額受け取ると、交通事故被害者の方は、本来よりも利息の分だけ得をしうることになります。
例えば、1年後に得られるはずであった100万円を現時点で受け取ると、1年後には、その100万円のみならず、100万円に対する利息分の利益をも手に入ることになります。
⑶ 中間利息控除を行うための係数の一つが「ライプニッツ係数」
そこで、実務上、将来的な損害の賠償においては、将来得られるはずであった利益の価値と現時点で受け取る利益の価値を等しくするために、上記のような利息相当分を差し引くこととなっており、これを「中間利息控除」と言います。
そして、この中間利息控除を行うための係数の一つが「ライプニッツ係数」と呼ばれるものなのです。
加害者でも慰謝料を請求することができるのですか? 減収がないと後遺障害逸失利益は損害として認められないの?