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交通事故の被害にあわれた場合には,病院等の医療機関の選び方,保険会社からの治療費打ち切り圧力等への対応,後遺障害等級のとり方,保険会社からの低額での示談要請への対応,弁護士等の専門家の選び方など,悩むことが多いかと思います。
そんな被害者の皆様に,少しでも参考になればと思い,当情報ページを作成いたしました。
また,順次,追記もしていきたいと思いますので,ご参考にしていただければと思います。
ただし,あくまで,当情報ページの情報はすべて,当法人の私的な見解にもとづくもので,必ずしも,その結果を保証等するものではありませんので,参考程度にご覧いただき,実際に対応される場合には,その都度,必ず,専門家にご相談ください。
また,私たちは,交通事故被害や後遺障害のご相談につきましては,原則として,無料とさせていただいておりますので,お悩みの際は,お気軽にご連絡ください。
当法人へのご相談
当法人では、事務所にお越しいただくほかお電話によるご相談も承っております。来所の時間が取りにくい方や事故のケガ等で外出が難しい方もお気軽にご相談ください。
物損事故に関する弁護士の対応
1 物損事故において相手方に請求できる損害
交通事故に遭ったが、怪我をしたわけではない物損事故の場合、相手方には何が請求できるのでしょうか。
物損事故の場合、交通事故損害賠償額算定基準(通称「青い本」)によれば、相手方に請求できるものは、概ね次のものになります。
⑴ 車両損害
- ①車両の修理費
- ②被害車両が修理不能もしくは修理費が時価額を上回るいわゆる全損となった場合は、事故直前の市場価格
⑵ 買替え諸費用
全損の場合で、被害者が買い替えを行ったときは、買替えのために必要な登録費用、車庫証明手数料、納車費用、廃車費用等の買替え諸費用
⑶ 代車料
事故により車両の修理あるいは買い替えが必要となり、それにより車両が使用不能の期間に、生じた代車使用料
※ただし、通常、修理あるいは買替えに必要かつ相当な期間に限られます
⑷ 休車損害
営業用車両については、車両の買替え、修理などのため使用できなかった場合、操業を継続していれば得られたであろう純益
⑸ 評価損
修理技術上の限界から、修理してもなお車としての機能、外観が完全に修復せず、事故前と比較して価値の減少がある場合、あるいは、機能、外観の点では損傷がなくても、事故歴、修理的のために商品価値が下落する場合等の、価値の減少分
⑹ その他雑費
レッカー代、車両保管料等
上記以外でも請求できるものがあるかもしれませんので、一度、弁護士にご相談ください。
2 物損事故について弁護士に依頼するメリットのあるケース
⑴ 過失割合に争いがある場合
過失割合に争いがある場合、被害者ご自身と相手方の保険会社との話し合いが平行線になることが多くあります。
この場合、刑事記録などの証拠となる資料をそろえ、裁判になるケースも少なくありません。
このようなことから、過失割合に争いがある場合は、弁護士による対応が適しているといえます。
⑵ 評価損の場合
評価損を請求する場合、保険会社が裁判によらずに示談交渉段階で支払いに応じることはほとんどありません。
評価損を請求するには、基本的に裁判によらないと難しいということになります。
この場合も、弁護士による対応が適していると思われます。
3 弁護士に依頼するか判断に迷ったら
物損事故の場合、人身損害もある交通事故と違って、相手方への請求額が低額になる場合が多いかと思います。
そうすると、せっかく弁護士に依頼しても弁護士費用のほうが高くついてしまって、費用倒れになることもあります。
そのようなときは、ご自身が弁護士費用特約付きの保険に加入していないかを確認してみてください。
弁護士費用特約は自動車保険が代表的ですが、生命保険、火災保険等に付いていることもあります。
また、同居の親族等が加入している場合でも利用できることがあります。
弁護士費用特約を使えば、弁護士費用は保険の上限内であれば保険会社の負担で弁護士に相談することができます。
当法人へのご相談の際も弁護士費用特約をご利用いただくことができますので、交通事故に遭われ、名古屋周辺で弁護士をお探しの方は、一度ご相談ください。
交通事故案件を得意としている弁護士がお悩みをお伺いいたします。
交通事故被害者の医師に対する謝礼は賠償されるか?
1 従来の裁判実務
交通事故で受傷した被害者が、手術や治療を受ける際、治療費とは別に、医師や看護師に謝礼を渡す場合があります。
従来の裁判実務においては、医師等に支払う謝礼金について、症状や治療内容等を考慮して、社会通念上相当な範囲に限って、加害者に対する損害賠償請求が認められることもありました。
2 最近の傾向
しかし、最近の裁判実務では、損害として認めない傾向にあります。
その理由として、
①そもそも謝礼は、被害者やその家族の感謝の気持ちからされるものであり、それを当然に加害者に対し請求できるという性質のものではないといえること
②医師の職業倫理上、謝礼の授受は慎むべきであるとされていること
が挙げられます。
②は、日本医師会が作成する「医師の職業倫理指針」において、「医師は、医療行為に対し定められた以外の報酬を要求してはならない。患者から謝礼を受け取ることは、その見返りとして意識的か否かにかかわらず何らかの医療上の便宜が図られるのではないかという懸念を抱かせ、またこれが慣習化すれば結果として医療全体に対する国民の信頼を損なうことになるので慎むべきである。」との規定が設けられたことを考慮したものです。
とりわけ公的医療機関の場合には、謝礼金を受け取った医師は、収賄罪に問われかねません。
裁判例として、「担当医への謝礼については、本件事故の発生に伴い、必然的に必要となる費用ではなく、本件事故と相当因果関係がない。」とか、「医師等への謝礼は、法律上の義務とは認められないから、被告に対して賠償を求め得ない。」などとしたものがあります。
もっとも、医療機関との関係を円滑にするために、医師等への謝礼が慣習となっていて、現実に支払わざるを得ない事情も無視できません。
そこで、医師等の尽力により困難な手術を成功させた場合や、適切な医療機関を探して搬送された場合等、特別の事情があれば、損害として認められる余地もあるでしょう。
3 謝礼金を交通事故の損害として認めた裁判例
症状が重篤なために転院先の病院がなかなか決まらず、知人の伝手を頼ってようやく転院が可能となった事案において、この場合に医師や看護師に謝礼を行うのは、当然社会的儀礼の範囲内であるし、20万5250円という金額も社会的相当性の範囲内であるとして、謝礼金を損害として認めた裁判例もあります。
このように、謝礼金を損害として賠償請求するためには、特別な事情を主張・立証する必要がありますので、まずは弁護士にご相談ください。
ご相談の際にご事情等をお聞きしたうえで、謝礼金が損害として認められるかどうか説明させていただきます。
当法人では、交通事故案件を集中的に取り扱っている弁護士がご相談を承りますので、名古屋で弁護士をお探しの際は、当法人にお問い合わせください。
交通事故における黄色本
1 黄色本について
⑴ 黄色本とは?
財団法人日弁連交通事故相談センター愛知県支部が発行する、交通事故の損害賠償額の算定基準が紹介されている本のことをいいます。
⑵ 黄色本の構成
黄色本は、2部構成で編集されています。
Ⅰ部では、交通事故損害賠償額の算定基準、Ⅱ部では、名古屋地方裁判所の裁判例が紹介されています。
2 赤本、青本との違い
⑴ 赤い本について
赤い本は、財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行しているもので、東京地方裁判所での裁判基準が主に紹介されています。
毎年改訂がなされており、毎年2月に発売されます。
⑵ 青本について
青本は、財団法人日弁連交通事故相談センターが発行しており、全国の裁判基準が主に紹介されています。
改訂は、隔年でされています。
⑶ 黄色本について
どの本も損害賠償の算定基準が紹介されていますが、黄色本の優れている点は、名古屋地方裁判所で判断された主要論点が紹介されている点です。
例えば、積極損害(治療費、入院付添費など)、消極損害では、休業損害、後遺障害について、慰謝料については、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料、その他の慰謝料について判断された裁判例が紹介されています。
また、交通事故とケガの各症状との因果関係があるか、物損については、修理費用、評価損、代車料、休車損について、過失相殺について争点となった裁判例が紹介されています。
名古屋で損害賠償について裁判をする際などに、参考にすることができます。
3 黄色本の基準について
⑴ 後遺障害慰謝料について
後遺障害慰謝料を例にあげますと、
1級:2800万円、2級:2370万円、3級:1990万円、4級:1670万円、5級:1400万円、6級:1180万円、7級:1000万円、8級:830万円、9級:690万円、10級:550万円、11級:420万円、12級:290万円、13級:180万円、14級:110万円
が原則とされています。
この基準は、赤い本と全く同じ基準です。
⑵ 傷害慰謝料について
黄色本には、別表として入通院の慰謝料基準が掲載されていますが、赤い本の別表Ⅰ基準よりは少し低めの金額となっているようです。
4 黄色本の重要度
黄色本は、名古屋地方裁判所で判断された判決をもとに編集されていますが、名古屋地方裁判所の裁判官が参考にしているかというと必ずしもそうではないようです。
現在では、赤い本を参考にしている裁判官が多いものと考えられます。