ドライブレコーダーは交通事故の過失割合に争いがある場合の証拠になるのですか?
1 交通事故と過失割合
交通事故の被害に遭われた方の中には、過失割合に納得できずに、ご相談に来られる方も多くいらっしゃいます。
過失割合とは、簡単に言うと、発生した事故結果(損害)に対して、どちらの当事者がどれだけ負担をするかを決める数値をいいます。
2 過失割合の重要性
車の修理費用などの物的損害や事故により被った肉体的・精神的な苦痛に対する慰謝料などの人的損害は、過失割合に応じて、相手方へ請求できる金額が変わります。
例えば、物的損害が30万円、人的損害が70万円の事故であった場合には、過失割合が「こちら側:相手側=10:90」であれば、こちら側は、相手方に、それぞれの額の9割の合計額である90万円を請求できることとなります。
仮に、過失割合が「こちら側:相手側=40:60」であれば、60万円しか請求できないこととなります。
このように、過失割合は、相手方へ請求できる金額を決する上で、非常に重要な考慮事情となっています。
3 過失割合の決定方法
民事裁判のなかでも、交通事故事件は、案件数として非常に多い部類に入ります。
そのため、事故態様に応じて、過失割合がある程度定型化されている傾向にあります。
具体的には、別冊判例タイムズ38号に応じて、過失割合を決める傾向にあります。
4 過失割合の立証方法
過失割合を決するためには、事故状況を証明しなければなりません。
事故状況に争いがない場合は、難しくないのですが、過失割合が問題となっている事案に関しては、往々にして、事故状況に対する当事者双方の言い分が異なっていることとなります。
このような状況において、事故状況を立証する有力な手段として、警察官が作成した物件事故報告書または実況見分調書を取り付けるという方法があります。
物件事故報告書とは、物件事故として届出されている場合の事故状況に関する書面となります。
実況見分調書は、人身事故として届出されている場合の事故状況に関する書面となります。
どちらも、第三者の立場にある警察官が事故現場の状況を客観的に記した書面となるため、証拠としての価値は高いです。
そのため、過失割合を立証する際には、物件事故報告書や実況見分調書にどのような記載があるかが重要となります。
5 ドライブレコーダーが証拠として有力な場合があります
ただし、事故当初から当事者双方の言い分が食い違っている場合で、目撃者などもいない場合には、実況見分調書が双方の言い分に従って、それぞれに作成されることとなるため、過失割合を決める上で、有力な証拠とならないことがあります。
このような状況で役に立つものが、ドライブレコーダーです。
ドライブレコーダーは、事故発生の状況を機械的・客観的に記録していますので、事故状況を立証するために、非常に有力な証拠となります。
相手方の不合理な弁解に屈しないために、ドライブレコーダーを搭載されることをお勧めいたします。
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