後遺障害の等級はどのように決まるのですか?
高次脳機能障害の等級は,障害の程度に応じて,1級1号(別表第1),2級1号(別表第1),3級3号(別表第2),5級2号(別表第2),7級4号(別表第2),9級10号(別表第2)という等級が認定される可能性があります。
※高次脳機能障害の症状が全く残っていないけれども,脳には傷が残っている(脳挫傷痕の存在)という場合には,「局部に頑固な神経症状を残すもの」として,第12級13号の認定をします。
1 後遺障害とは
⑴ 労災の定義
労災の定義では,「負傷又は疾病がなおったときに残存する当該傷病と相当因果関係を有し,かつ,将来においても回復が困難であると見込まれる精神的又は身体的なき損状態であって,その存在が医学的に認められ,労働能力喪失を伴うもの」とされています。
⑵ 基準に該当しなくては等級認定はされない
後遺障害が存在する場合には,後遺障害等級が認定されうることになります。
もっとも,どのような後遺障害であっても等級が認定されるものではなく,後遺障害の基準に該当した場合に限られます。
したがって,痛みが残っている,傷痕が残っている,変形があるというだけで,その障害が,後遺障害の基準に該当しない場合には,「非該当」という判断になります。
2 等級認定の仕組み
⑴ 実際の審査は,損害保険料率算出機構という機関で行われる
後遺障害等級の認定は,通常,損害保険料率算出機構という機関が行っています。
窓口は,自賠責保険会社なのですが,自賠責保険会社から損害保険料率算出機構に審査を委託するのです。
⑵ 申請方法は2パターン
後遺障害等級認定の手続には2種類あります。
1つは,被害者自身で申請する手続で「被害者請求」や「16条請求」などといいます。
もう1つは,相手方の任意保険会社が申請する手続で「事前認定」と言ったりします。
⑶ 必要書類について
等級認定のための資料としては,診断書・診療報酬明細書・後遺障害診断書やMRI等の検査資料などがあります。
これらの資料をもとに損害保険料率算出機構が後遺障害に該当するか否かどの等級に該当するかを判断します。
3 不服申立手続
後遺障害等級認定の結果に不満がある場合には,異議申し立てを行うことができます。
異議申立は,各後遺障害の等級認定基準を把握し,裏付けとなる資料を添えて異議申立を行うことが重要です。
ただ,結果に不満があるだけで,新しい資料(症状固定度の通院継続の事実や,新しい検査結果など)がない場合には,異議申し立てしても,初回申請と同じ結果が返ってくるだけなので,お気をつけください。
4 自賠責の後遺障害等級認定は裁判所を拘束しない
自賠責の後遺障害等級認定は裁判所を拘束しないため,裁判所に対して訴訟を提起することもできます。
ただ,訴訟をしたからといって必ず被害者の方に有利になるとは限りません。
時には不利な結果になることもあります。
そのため訴訟までするかは慎重に見極める必要があります。
この点については,後遺障害事案に詳しく,交通事故に強い弁護士にアドバイスを求めるのが得策でしょう。
5 最後に
適切な後遺障害等級認定を受けるためには,どのような手続で申請するのか,異議申立を行うか,訴訟をするかなど様々なことを判断しなければいけません。
交通事故被害者の方ご自身でこのような判断をすることには難しい部分もあるかと思います。
お困りの際は,弁護士などの専門家に相談してみるのも一つの手だと思います。
弁護士法人心は,交通事故事件を多く取り扱っておりますので,お気軽にご相談ください。
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