交通事故の弁護士介入後の解決までの期間は?
1 期間は事故の状況などによって異なる
交通事故の解決に要する期間は、事故の態様・規模、損害の内容・金額、争点の数・内容、当事者の拘り、証拠資料の有無等、様々な要素によって左右されます。
そのため、以下では類型化を試みていますが、当ページでの記載はあくまで平均値であって、すべてに該当するわけではないことをあらかじめ含みおきください。
2 物件損害
物件損害は、金額の評価で争いになることはあるにせよ、損害内容は事故後すぐに確定します。
車等の修理や買い替えに時間を要するとしても、大半は2か月前後といったところです。
3 人身損害
これに対して、人身損害は、各人ごとに異なりますが、治癒・症状固定までに半年~1年近くかかることも珍しくありません。
後遺障害の申立も絡むとさらに時間を要することになります。
よって、解決までに要する期間は、物件損害のみの場合に比べて人身損害が含まれている場合の方がはるかに長いのが通例です。
交通事故における人身事故の場合、任意保険会社(ここでは共済も含みます)からの治療費支払いが滞りなく行われている間は、弁護士介入することはそれほどありません。
弁護士介入の必要性が高まる場面としては、①相手方から治療費打ち切りが予告・実施された場合、②後遺障害の申立が必要になった場合、③相手方から示談金額の提示がなされた場合などがあげられます。
①治療費の打ち切り
治療費の打ち切りが予告・実施された場合は、任意保険会社と支払延長交渉を行った上で、その結果を踏まえて、治療の継続等を検討していくことになります。
そのため、解決までどの程度かかるかは一概には言えませんが、治療に必要な期間をめぐって被害者側と任意保険会社との見解が対立していると、裁判も念頭に置いた対応が必要となるため、解決期間は長くなります。
②後遺障害の申立て
後遺障害の申立てが必要になった場合は、後遺障害の申立及び審査に2~3か月を要し、その結果を踏まえて示談折衝を行うことになります。
後遺障害の認定結果については、双方とも不満がなければ金額面の調整もスムーズにいくことが多く、そうなると前記期間に加えて1~2か月で解決します。
③示談
相手方から示談金が提示された場合は、前提となる治療期間や損害項目に争いがなければ、金額面の調整を行うだけであり、弁護士介入後1~2か月で解決することも珍しくありません。
いずれの場合も、後遺障害の申立を行うかどうか、後遺障害の認定結果に対する異議申立てを行うかどうか、裁判になるかならないかによって、解決期間は大きく違ってきます。
なお、弁護士介入=裁判という認識を持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、必ずしもそうなるとは限りません。
裁判にならないまま示談解決する場合も多いですし、弁護士が裁判を勧めても依頼者が示談解決を望む場合は、依頼者の意向を優先することになります。
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