びまん性軸索損傷と診断された場合の注意点
1 びまん性軸索損傷とは
びまん性軸索損傷は、脳に回転性の外力が加わることで、脳がねじれ、その結果、軸索が広範囲にわたって強く引っ張られ損傷することで生じる損傷と考えられています。
びまん性軸索損傷は、CTやMRIで明らかな血種などの所見が認められないという特徴から、事故後に高次脳機能障害の症状が出たとき、脳に損傷が生じているかが争われることがあります。
2 びまん性軸索損傷の診断
⑴ 意識障害
交通事故による受傷後、6時間以上の意識障害がある場合は、びまん性軸索損傷と診断されることがあります。
一般的に、意識消失の時間が長いほど、予後不良となる傾向にあるとされています。
⑵ 微細な出血
びまん性軸索損傷は、脳の広範囲で軸索の損傷が生じているため、局所的な脳損傷が生じている場合とは異なり、CTで出血を確認できないことがあります。
そのため、脳損傷の存在を立証する画像所見を得るためには、拡散強調画像、T2強調画像などでMRI検査を受け、微小な出血の存在を画像所見として明らかにすることが重要となります。
なお、微小な出血は、時間の経過により吸収されるなどして、検査で確認できなくなってしまうことがあるため、受傷直後に検査を受けておくなど撮影時期にも注意が必要です。
⑶ 脳萎縮
また、びまん性軸索損傷では、脳萎縮が起こり得るため、事故からしばらく経過した後に再度画像検査を受け脳萎縮の発生の有無を確認する必要があります。
ただ、脳萎縮は、加齢によっても生じるため、事故からしばらく経過してからの画像のみでは、びまん性軸索損傷による脳萎縮が起きていると確認できない場合もあります。
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