後遺障害等級14級の慰謝料増額はできる?
1 後遺障害等級14級に対する自賠責保険の金銭的補償
後遺障害認定の申請をし、等級認定が認められた場合、自賠責保険会社から、等級に応じた金銭の支払いを受けることができます。
14級の場合、75万円を上限として支払いを受けることができます。
この75万円は、後遺障害慰謝料と逸失利益をまとめた額となっています。
2 後遺障害慰謝料
後遺障害が残った場合、被害者は、その障害を一生抱えて生きていかなければなりません。
このような生活を強いられることになるという精神的苦痛を金銭に換算したものが、後遺障害慰謝料です。
自賠責保険では、後遺障害慰謝料として32万円が上限として認められています。
3 逸失利益
逸失利益とは、後遺障害が残ってしまったことにより減額すると見込まれる収入のことを言います。
自賠責保険では、後遺障害等級14級について、43万円が上限として逸失利益として認められることになります。
4 弁護士が介入した場合の金額
この場合には、後遺障害慰謝料も、逸失利益も、弁護士介入前の提示額より増額することが多いです。
⑴ 後遺障害慰謝料の金額
まず、後遺障害慰謝料については、弁護士基準に基づいて計算されることになります。
裁判した場合には110万円程度、裁判に至らずに一部譲歩して合意する示談の場合でも、90万円~100万円程度になる可能性があります。
⑵ 逸失利益の金額
次に、逸失利益については、本人の事故前年度の年収を基礎に、14級の場合の労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間3年~5年という考え方をもとに計算し、おおむね30万円~150万円程度になることが多いです。
そうすると、弁護士が介入したことによって、100万円以上増額する可能性があることになります。
⑶ 入通院慰謝料の増額の可能性
さらに、弁護士が介入した場合には、後遺障害慰謝料とは別に、入通院慰謝料について、弁護士基準をベースにした示談交渉となりますので、増額の可能性があります。
他方、これらはあくまで弁護士が介入した場合のことであるため、被害者ご本人による交渉では、弁護士が介入した場合ほど増額されることはなかなかありません。
5 交通事故に詳しい弁護士にご相談ください
後遺障害が残るような重い怪我をされた方の場合、それだけきちんとした賠償がなされるべきですが、加害者側の保険会社は必ずしも適正な賠償額を提示してきません。
後遺障害慰謝料、逸失利益について、自賠責保険で定める75万円を示談案として提示してくることも散見されます。
増額交渉では、後遺症が残ったことで被った精神的苦痛や、後遺症により見込まれる減収について、しっかりと主張・立証しなければなりません。
示談案がはたして妥当であるのか、一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談することをお勧めします。
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