後遺障害等級11級の適正な慰謝料は?
1 後遺障害の等級認定
交通事故によるお怪我について、治療を続けたけれども症状が残ってしまった場合には後遺障害の申請をすることになります。
例えば、脊柱の変形障害や両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残す場合等の目の障害、両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になった場合等の耳の障害、1手の人差指、中指又は薬指を失った場合や1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの等の上下肢の障害等の場合、後遺障害等級11級と認定されます。
後遺障害として等級の認定がされた場合、交通事故による損害賠償として逸失利益と慰謝料が支払われることになります。
2 逸失利益の計算
後遺障害の逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、労働能力の低下がもたらされ、それが生涯続くと考えられるため、事故に遭わなければ得られたはずの将来の収入に対する減収分を補填することを目的とするものです。
こちらは、被害者の方の収入、等級に応じた労働能力喪失率(例えば14級ですと5パーセント程度とされることが多いですし、12級ですと14パーセント程度とされることが多いです。)や喪失期間から計算されるので、それぞれのご事情によって金額は変わります。
11級の場合は、労働能力喪失率は20%程度が目安とされています。
ただし、11級の脊柱の変形障害については、現実に20%もの労働能力の喪失があるのか、争いとなることがしばしばあります。
3 慰謝料の金額について
後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことで、その後遺障害と生涯付き合って生きていかなければならないことの精神的苦痛に対する賠償項目です。
後遺障害等級11級の場合はどれくらいの金額が適正なのでしょうか。
この点、自賠責保険の基準では、後遺障害等級11級の場合、後遺障害逸失利益と後遺障害慰謝料と合わせて、331万円です。
これに対し、裁判基準(弁護士基準ともいわれ、同じ基準を指します)では、後遺障害等級11級ですと後遺障害慰謝料のみで420万円程度とされ、更に後遺障害逸失利益が別途算定されます。
そして、弁護士が介入していないケースでは、保険会社から被害者に提示される示談金は、この自賠責基準での提示であることがしばしばあります。
また、保険会社は、自賠責基準ではないものの、任意保険基準で提示することもあります。
この任意保険基準は、基準が不透明である上に弁護士基準よりも低い金額であるため、この任意保険基準も注意が必要です。
以上から、適切な金額についての知識が無いために、保険会社からの提示のままの金額で示談する場合は、大きく損をすることが多いです。
そして、一度示談をしてしまうと、後から金額が不当に低かったということに気づいても、示談のやり直しは原則としてできません。
ですから、保険会社から示談金額の提示を受けたときには、すぐに結論をださずに、一度弁護士に相談されてみることをお勧めします。
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