個室への差額ベッド代を加害者側に請求することは出来る?
交通事故で入院すると,病室が個室であったり,複数部屋用であったりすることがあります。
個室や少人数用の病室である場合,大人数用の病室と比較して特別な療養環境が提供されているとして,「差額ベッド代」という費用が発生します。
これは健康保険適用の範囲外であるため,患者側が全額負担しなければなりません。
では,差額ベッド代を加害者側に請求することは出来るのでしょうか。
保険会社との間で争いになれば,個室・少数部屋を使用する必要性・相当性を具体的に主張・立証しなければなりません。
厚生労働省保険局医療課の通達(保医発0326号第5号)によれば,①個室・少数部屋へ入院させる治療の必要がある場合や,②病棟管理の必要性等から実質的に患者の選択によらずに個室・少人数部屋に入院させる場合には,患者に対して差額ベッド代を求めてはならないとしています。
そうすると,上記①②と同様の事情がある場合には,患者が個室・少数部屋を使用する必要性・相当性が認められるとして,患者が差額ベッド代の負担分を加害者側に賠償させることができると考えられます。
裁判例においても,外気にあてると感染症にり患する可能性があることから医師の指示によって個室療養とされたという事案(①の類型,山口地判平成2年9月28日判決)や,大部屋が満室であったために個室を使用することになったという事案(②の類型,大阪地判平成18年7月31日判決)などがあり,差額ベッド代が認められています。
このように,差額ベッド代を請求する場合には,個室や少人数部屋を利用する必要性・相当性があることを十分に主張しなければならないので,お困りの場合には交通事故に強い弁護士にご相談ください。
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