併合11級の慰謝料請求-2つ以上の後遺障害の場合
1 後遺障害とは
交通事故の被害に遭われて、大きなお怪我をされた方の中には、懸命に治療を受けたにもかかわらず、症状が完治しないまま症状固定を迎えてしまう方も少なからずいらっしゃいます。
症状固定とは、傷病に対して行われる医学上一般に承認された治療方法をもってしても、その効果が期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が、自然的経過によって到達すると認められる最終の状態のことを言います。
簡単にいってしまうと、症状固定とは、お医者さんが「頑張って治療しても、もうこれ以上は良くならなさそうですね・・・。」と判断したタイミングのことです。
症状固定時点で、体に残された怪我の影響は、後遺障害として損害賠償の対象となりえます。
2 後遺障害の慰謝料を請求する方法
実務上は、加害者の加入している自賠責保険の保険会社が窓口となり、損害保険料率算出機構という機関で後遺障害として認定を受けて、そのことを根拠に後遺障害に関する損害賠償請求を行うことが一般的です。
後遺障害の認定については「後遺障害別等級表」というものが設けられており、人間の体の各部分に、どのような内容の障害がどの程度残ったかという観点から、一番重い第1級から一番軽い第14級まで細かく区分けされており、この「後遺障害別等級表」に記載されている後遺障害に該当するかどうかという観点から認定が行われます。
例えば、「1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」は第14級1号となります。
また、「1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの」は第11級2号に、「1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの」は第11級6号になります。
後遺障害に関する損害賠償請求では、認定された等級に応じて、慰謝料等が変動することが一般的です。
例えば、第12級に該当する後遺障害が認められれば、自賠責基準で94万円程度、裁判基準で290万円程度の慰謝料が認められます(令和2年4月1日以降に発生した交通事故の場合)。
3 2つ以上の後遺障害が認定された場合の慰謝料の計算
では、神経症状の12級と外貌醜状の12級など、別の部位の別系統の後遺障害が一つの事故で認定された場合、慰謝料等はどうなるのでしょうか。
この場合には、併合繰り上げといって、二つ合わせて併合11級の後遺障害が認定されたものとして、慰謝料等が計算されることとなります。
なお、以上で述べたことはあくまでも一般的な後遺障害に関する話であり、実際に示談交渉や裁判などで争いになっているケースでは、後遺障害の内容次第では、逸失利益が否定されたり低く見積もられたりする反面で慰謝料を高くして調整する例など、様々なバリエーションがございます。
これらの点については、ぜひ弁護士等にご相談いただければと思います。
名古屋周辺の方は、弁護士法人心 名古屋法律事務所へお越しください。
交通事故被害で寝たきりに-適正な慰謝料相談 脳脊髄液減少症の後遺症・後遺障害慰謝料