サラリーマンの基礎収入について-逸失利益の計算と例外について
1 後遺障害による逸失利益とは?
交通事故により傷害を負って後遺障害が残ってしまった場合,その後遺障害のために従前と同じように働くことができず,将来の収入が減ってしまうことがあります。
このように将来にわたり減少してしまう収入を「後遺障害による逸失利益」といい,これも加害者に対する損害賠償請求項目の一つになります。
しかし,交通事故にあわなかったら将来得るであろう収入を正確に予想できるかというと,難しい問題です。
収入額をある程度正確に判断できる資料があればよいのですが,そのような資料がない場合には,賃金センサスなどの統計資料を用いて妥当な金額を判断することになります。
なお,賃金センサスとは,日本政府が実施している賃金に関する統計である「賃金構造基本統計調査」のことで,政府統計の総合窓口により,一般公開されています。
2 サラリーマンの逸失利益の計算
いわゆるサラリーマン,つまり給与所得者の場合には,源泉徴収票など収入を証明する資料があるため,現在の収入が比較的明確であり,また勤務先に賃金規定が定められていれば,将来の昇給分も予想がつきやすいため,将来の収入も比較的認定しやすいといえます。
もし勤務先に賃金規定がなかったとしても昇給分が全く認められないわけではなく,過去の事例等を判断資料にして昇給分が認められる場合もあります。
3 計算方法の例外
上記がサラリーマンの逸失利益の計算の基本的な考え方となりますが,若い方,おおむね30歳未満で,何十年にもわたり逸失利益が生じるような場合には,上記の計算方法が妥当でないとされます。
将来にわたり賃金センサスで示される程度の水準の収入を得られる可能性がある場合には,全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金をもとに計算してもよいとされていますが,一方で,賃金センサスで示される全年齢平均賃金ほどの収入は得られないだろうとされる場合,年齢別平均賃金又は学歴別平均賃金をもとに計算されることもあります。
4 交渉前には名古屋の弁護士に相談を
いずれにせよ,逸失利益を法律的知識なしに計算するのは難しく,弁護士などの専門家に相談しないまま交渉をしてしまうと,加害者側の保険会社担当者にうまく丸めこまれ,不利な計算方法を持ちられる可能性もあります。
名古屋で交通事故にあわれた被害者の方には,ぜひ一度ご相談いただいたほうがよいでしょう。
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